さこたつみ【佐古竜巳】のブログ

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ルールある経済社会とは

 ルールある経済社会とは?(科学的社会主義

 

日本では、長時間労働、過労死、人間を使い捨てにする不安定雇用など、ひどい働かせ方が野放しにされています。社会保障は貧弱、女性差別は根強く、多くの人を苦しめています。それは、ヨーロッパでは当たり前になっている国民の生活や権利を守るルールが日本にはないか、あっても非常に弱いからです。この現状を打ち破って、ヨーロッパの国々や国際条約では当たり前になっている国民の生活と権利を守るルール作りをすすめ、「ルールある経済社会」をめざす¦これが日本共産党の経済改革の基本的な考え方です。

 こうした考え方は、⒚世紀のイギリスでの「工場法」(1日の労働時間などを規制する法律)をめぐる労働者のたたかいにさかのぼることができます。イギリスでは、資本主義の発展とともに1日の労働時間は延長され、9歳、⒑歳の児童を含め、⒓時間、⒗時間も働かされる事態となりました。それにたいして、労働者の反撃が始まり、1850年に「10時間労働制」が実現します。

 マルクスは、資本論の中でその意義を次のように指摘しました。

 

‶わが亡きあとに洪水よ来たれ〃」これが、すべての資本家と資本家国のスローガンである。それゆえ、資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命に対し、なんらの顧慮も払わない」

 「わが亡きあとに、洪水よ来たれ」というのは、フランスの国王ルイ⒖世の愛人ポンパドール夫人の言葉です。贅沢三昧をする夫人に、ある人が「そんなことをしていると、国家の財政が破綻して大変なことになります」と忠告したところ、夫人は「そんな話は私が死んだあとにして」と言ったというのです。つまり、この言葉は「あとは野となれ山となれ」という意味です。

 資本は、労働者の健康や寿命など気にせずに、利潤のためひたすら労働時間の延長を追求します。資本が競い合ってそんなことをやったら、労働階級そのものが衰退し、やがては社会全体も成り立たなくなります。しかし、資本主義の中には、それにストップをかける仕組みがないのです。だから、社会が法律というルールを強制する必要がある¦そのことをマルクスは明らかにしたのです。

 こうしたルールづくりの動きはその後さらに大きく広がりました。しかし、日本の現状は大きく立ち遅れています。だからこそ、ヨーロッパや国際条約の到達点をふまえて、日本でも国民の生活と権利を守るルールづくりを進めるというのが私たちの考えです。

 これは、大企業を「敵視」したり、つぶそうとしたりするものではありません。資本主義の枠のなかで実現可能な改革であり、大企業にはその社会的な力にふさわしい社会的責任をきちんと果たしてもらおうというです。そうしてこそ、日本経済全体の回復につながるのではないでしょうか。

文:卜部 学